ワインの輸入
2016/11/24
こんにちは。大野みさきでございます。普段は飲食店への営業、イベント運営やワインバー、受注、ピッキング(梱包)、事務作業などをしていますが、インポーターである私の本業は輸入業でございます。今回、無事に3回目の輸入を終えることができましたのでワイン輸入についてレポートしたいと思います。
先週の6月17日(金)の事です。スロヴェニアからはるばる海を越えてやって来た、ワインとの対面を果たしました。4月末にLCL(リーファーコンテナの混載便)でイタリアのジェノバ港から船積みされたワインが自社倉庫に到着したのです。
思い返せば、2月のサンプル輸入にはじまり、初めての自社通関をやり遂げ、取り扱いアイテムの選定と物量の決定、取引条件と価格交渉を得て本輸入となりました。
東京港への入港日が11日(金)と予定より1週間も早まり、通関に備えての準備にてんてこ舞いでした。食品輸入に必要な届出書の内、国が定めた公的検査機関による検査証明書(禁止されている添加物を使用していないか、規定がある添加物の使用量をチェックする為)の提出が義務付けられています。検査機関の住所不一致(実際の住所と国が発行しているリストの住所相違)でスロヴェニア大使館を巻き込み、厚生労働省へのレター作成などのを依頼したりと大忙しでした。
おまけにアライバルノーティス後の入港間際に、実数とインボイス(領収書)上の数の不一致が起こりました。実数が180本多かったのです。シッパー(取引先のワイン生産者)がサンプルワインを同梱してくれたのですが、どうやらインボイス上の記載を失念したようです。
その頃はちょうど、千里阪急で開催されたの父の日フェアことパパズマルシェの催事中ではありましたが、実は様々な輸入トラブルを抱えていました。大野は百貨店の売り場でこっそりとiPhoneを触りながら、確認メールを送ったりと問題解決に勤しんでおりました。フォワーダー(海貨業者)の力量もあり、X線検査には引っかかりましたが、比較的スムーズに通関は通りました。
税関X線検査では検査場への横持ち料(内点場までパレットを運ぶ費用)と税関検査立会いにかかった費用である、33.000円は自社負担です。現品検査にならなかっただけまだマシですが、致し方ない輸入コストです。国に税金を納めた、実に良い事をしたと(無理やりですが税収増と)でも言い聞かせました。
6/17(金)6:45にはワインが西区の倉庫に到着しました。催事の真っ只中だったので、早朝の搬入をリクエストしました。物量は前回の5パレットより少なく、3パレット、300カートンです。倉庫前にトラックが横付けされると、ドライバーは彼のご好意で搬入作業をお手伝いして下さいました。通常は車上渡しが基本です。
パレットを車上で解体し倉庫へ運びます。単純な労働に途中で意識が朦朧とはしましたが、1時間10分かけて汗だくになりながら搬入を終えました。倉庫のビフォーアフターです。
カートンの2箱にダメージがありました。フォークリフトで積み下ろしをする際、傷付けた模様です。
その衝撃からワインのスクリューが破損です。
液漏れも起こしています。
こちらもですね。
木製のパレットにも損傷が見られます。
結構な衝撃があった様です。
計3本のスクリューキャップが破損していました。当然のことながら、売り物にはなりません。
保険求償も視野に入れましたが、保険が満額おりたとしてもインボイス価格の110%しか賠償金が支払われないのと、今回保険を適用すると次回から保険料率が上がってしまうので、書類作成の労力を踏まえ、少額で割に合わないので今回は求償は見送りました。
ドライバーの見解によると、パレットが積載重量に耐えられない可能性もあるので、現行のパレットを使い続けているといつかは、割れたり惨事が起きると。今より3倍ぶ厚い強化耐性パレットやプラスチックパレットの使用を次回からは強く勧められました。リスクマネジメントは必要不可欠ですよね。
ともあれ、搬入が完了し、軽い足取りで千里阪急に向かいました。百貨店の開店時間である10:00には間に合わず、5分ほど遅刻しましたが、お手伝いに来てくれたH君が準備から何もかも立派にこなしていました。彼のおかげで安心して搬入に携わることができて感謝です。
待ちに待ったワインの到着。ワイン輸入業をはじめて2年、やっと輸入を継続させる事が叶いました。もし税務署から酒類販売業(小売・卸売)免許がおりなければ、大野が16年かけて飲んだらいいじゃないか、と開き直った頃が懐かしく感じました。
今回の搬入の出来事を千里阪急の催事でレジ担当の派遣のお姉様にしたら、「このワイン達は貴方に取って子供みたいなものね」と言われました。まさしくその通りです。私にとって「大好きなこの子達」です。今は新しい子供達で早く皆様を笑顔にしたいという想いで一杯です。手塩に掛けて育てた子が旅立ち、人々を喜ばせる、親にとってこれほど幸せな事はないと思います。
昨日、最終的な商品原価が出たので価格決定を1日かけて行いました。飲食店向けのカタログ作成もウェブショップの商品ページもできる限り急ピッチで更新します。今回は航空輸送ではなく海上輸送でしたので輸入コストは激減しました。よりお求め安い価格にはなったと思います。今後とも何卒よろしくお願いします!
【新商品】
・イエローミュスカ2014
果実本来の華やかなアロマ。やや甘口でジューシー。彼女は疲れた時の癒し系。
・ゼレン2015
大人気スパイシーな白ワイン。2012年と縦飲み(垂直試飲)が可能。こんな子初めてと言わせたい。
・メルロー2013
果実味が半端ない、滑らかな酸と心地良いタンニン。バランスも取れている優しい子。
・カベルネソーヴィニョン2013
品種の特徴ゼロ、旧世界のクラッシックさとはかけ離れた全く新しい他に類を見ないタイプ。
・ピノノワール2013
JamsekのファーストヴィンテージPN。最初はフレッシュで人見知りだったが、仲良くなった3日後、その変貌に驚いた。芯は通っていて、ピュアなストレートさが魅力。
【今回本輸入にかかった諸費用】
商品代
海上運賃
輸入通関料
輸入取り扱い手数料
食品届申請料
税関X線検査場横持ち料
税関検査立会い料
関税
酒税
輸入消費税
地方消費税
貨物配達料
保険料
※バックラベルの印刷と貼付料はなし
取引条件がFAS(シップサイド)なので蔵元からジェノバ港までのコストは商品代に込み
搬入で覚悟していた筋肉痛。翌日も翌々日も3、4日経っても筋肉痛にならなかったのには驚きました。普段から営業でワインを持ち運びする際、筋肉を使っていたのですね。ちゃんと仕事をしていると実感しました。
【365wineのSHOP】
http://www.365wine.co.jp
貴方とその大切な方の舌と心を満たすワイン。
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