毎日ワイン365

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スロヴェニア旅行記Ⅻ

   

長らく続いている旅行記ですが、あと2~3回で終わる予定です。もう暫くお付き合い下さいませ。ワインメーカーを紹介して欲しいとワインショップのオーナーであるデビットにお願いしていました。彼は私が何に興味があるかをヒアリングして、それに合ったメーカーとのアポイントまで取って、1日休んで車で連れて行ってくれました。なんて優しい方なんでしょう。彼に限らずスロヴェニア人は皆様、親切です。

 

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先ずは、プリモルスカ地方で350年の歴史がある、ビオディナミのワインメーカー、ステンベルガーStembergerです。8haの畑を所有し、収穫量は25hl/haの小さな造り手です。

 

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当主はセバスチャンです。セバスチャンはちょこまか動くので忙しない男性だと、デイビッドと他社のワインメーカーの当主が話していました。実際、彼はカーヴを走り回り、各樽から20種類ぐらいのワインをお味見させてくれました。彼のホスピタリティですね。

 

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コンクリートタンクも使っています。フレッシュな酸味が大切なのでスロヴェニアの白ワインはマロラクティック発酵は施しません。「冷涼な地域なので補糖はしていますか」という不躾な質問にも丁寧に応えてくれました。もちろん答えはNOですが、補糖をしている生産者にはこの類の質問は懸念されます。

 

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発酵層には発酵終盤のマスト(アルコールに移行中の果汁と果皮)が入っていました。アルコールの香りがするのと、その上空を沢山のコバエの様な小さな虫が飛んでいます。

 

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スロヴェニアの土着品種であるゼレン2013 Zelenです。いつも馴染みのあるフレッシュなJamsekのものと比べると、落ち着きと深みがありました。ボトリング直後よりも2~3年経ったものが良く、マックス5年程が良いとされている品種です。品種の個性もありますが、造り手の個性が反映されるものだと感じました。ビオメタルではない、他にない、セバスチャンの個性です。2016年はぶどうの糖度を上げる為に、501のプレパラートを3回、病気の予防に銅を1回、バーブを何回か畑に撒いたそうです。

 

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Robinia ロビニアという品種です。

 

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10/21に ボトリングしたVitovska 2016ビトブスカです。塩っ気があるので牡蠣と合わせたら良いですね。ビジットした翌週が満月でした。ビオディナミの造り手なので月の満ち欠けによって醸造や栽培をします。満月の時のボトリングをするワインがいくつかあったのですが、満月フルムーン当日ではなく、その4日前がボトリングに最適な日だそうです。引力が強すぎないのだとか。

 

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樹齢200年のStemberger家の守神であるシンボルツリーです。毎年結実を見せるので家族で収穫して、非売品であるファミリーワインを造ります。

 

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自家製のプロシュートをご馳走になりました。部位によって3種類あります。

 

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なす科の野菜のピクルスです。畑で収穫したオーガニック野菜で、素材が素晴らしく白ワインに合う絶品のおつまみでした。仕事中という事を忘れるぐらいワインが進みます。

 

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自家製のオリーブ&オリーブオイルとパンです。暖かくて小麦の素朴な風味が何とも言えません。スーパーで販売されている市販のパンは買いませんが、生業がベーカリーでないのにこんなに美味しいパンが焼けるとは大したものです。

 

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セバスチャンと別れ際に握手をした際、彼の手はゴツゴツとした硬い手でした。畑仕事をする人の手です。ワインの出来は90%が工業的ではない畑仕事にかかっていると彼は言います。その為、雨の日も毎日畑に出て作業をしているそうです。ミクロクリマが大切だと語ります。彼がワインにかける想いと愛情を深く感じたのでありました。次回に続く。

 

 

 

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