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マロラクティック発酵

      2016/12/02

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高級な白ワインに施される過程に、マロラクティック発酵があります。MLF(Malolactic Fermentation)あるいはもっと略されてMaloマロと呼ばれています。ぶどうが本来持っているりんご酸を乳酸菌の働きにより、乳酸に変化させる事です。りんご酸はMalic acids、乳酸はLactic acidsと言います。この2つの単語を合わせてMalolacticと呼ぶようになりました。一般的な発酵は酵母が担いますが、マロラクティック発酵は乳酸菌が主役です。もちろん発酵なので二酸化炭素も副生成物として、発生します。

 

りんご酸 → 乳酸 +  二酸化炭素  + αアルファ

乳酸菌

 

 

マロラクティック発酵の効果は、下記の2点です。

・酸味が柔らかくなる
・風味が複雑になる

 

白ワインの骨格でもある、酸の質と絶対的な強さが変わります。鋭角な酢のようなりんご酸から、ヨーグルトのような丸みのある酸に変化します。発酵により二酸化炭素だけでなく香味成分も生成されるので、ワインはより複雑味を帯びます。代表的なものとしてはクエン酸が代謝されると発生するダイアセチルなどです。清酒やビールの醸造では嫌われている香りですが、ワインでは複雑性をもたらすので喜ばれますが、中には好まない人もいるようです。酵母の生きている間にマロラクティック発酵を終わらせれば、ダイアセチルの発生は少なくて済みます。

 

乳酸菌は空気中に存在するので、温度管理をしていればマロラクティック発酵は自然に起こります。起こらない場合は、培養乳酸菌を人工的に添加します。造りたいワインのスタイルによって、マロラクティック発酵の有無を決定します。例えば、シャープな酸、シンプルで繊細な風味を残したい場合は、マロラクティック発酵は避けます。アルザスのリースリングなんかが当てはまります。あるいは、もともと酸が少ない傾向にある温暖な産地の白ワインはマロラクティック発酵は行いません。乳酸菌が活動できないように、ワインの保管温度を低くしたり、SO₂の濃度を高くするなどの処置で回避されています。

 

一方赤ワインは、ボジョレーヌーヴォーは例外ですが、どんな品種でもどんな産地でもマロラクティック発酵を施します。風味の複雑性を重視するからです。または、酸が柔らかくなるのでタンニンとのバランスが取れます。今日はMLFについてでした。

 

参考文献:「ワイン醸造の基礎 第3回マロラクティック発酵の話」後藤奈美

 

 

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