バックラベルの偽装Ⅱ
2016/12/03
前回のバックラベルの偽装Ⅰの続編です。ワインメーカーが合成香料を使用する理由は、低コストな上に、消費者に好まれて、売れるといった点です。7年ほど前の事ですが、当時、通っていたワインスクールで比較試飲した、
白桃と洋梨と甘い蜜の香りが実にチャーミングな白ワイン
濁った外観にザリガニや溝の匂いがする旨味も豊富な白ワイン
美味しいと感じたのは合成香料を添加した前者のワインでした。醸造コンサルタントが市場のマーケティングを重ね、万人が選ぶであろう造られたワインを、まんまと自分もチョイスしてしまった事を情けなく感じました。それ以降、香料の入ったものはなるべく頂かないように心掛けています。
驚く事に、ワインに合成香料が添加されていても、バックラベルにはその記載はありません。記載義務のある食品添加物、その欄の酸化防止剤(亜硫酸塩)の隣に香料と記載があったらワインは売れません。EUでは食品の規制は厳しいはずなのに、何故か酒類に関しては甘いんです。原材料の表記がない為、香料がワインに添加されているかを見極めるのは非常に難しく、調香師や香りの分野のエキスパートでなければ合成か天然かは見極められません。通常ワインは香りや味わいが刻々と変化していくものです。いつまでも同じ香りが強く香ったら合成と思って間違いないでしょう。
合成香料は自然なワインの香りとは異なり、多少の熱では変化しないので、海上輸送もリーファーではなくドライコンテナが使用できます。収穫の収量が多く、未完熟で品質の低いぶどうを使いながらも、少しでもよく見せたい。その代償として欠点を補うために生まれたのが香料です。安さを追い求める消費者に寄り添うかの如く、1円でもコストカットを要求されたのです。何とも皮肉なことに加工食品には殆ど香料が使われているのです。香料の添加なくしては全く美味しくない、という残念な食品のオンパレードです。それらを選んでいるのは他ならぬ、貴方自身なのです。