圧搾コルク
前回、「天然コルクの利点」を挙げましたので、今日は関連する事で「圧搾コルク」についてお話したいと思います。圧搾コルクは、天然コルクやスクリューキャップとは異なり、あまり話題に取り上げられることはありません。コルクの世界シェアNO.1を誇る、ポルトガルのアモリム社、その売上げの半分近くを圧搾コルクが占めています。それだけ圧搾コルクはメジャーなワイン栓なのです。
アモリム社の圧搾コルク「ツイントップ」
圧搾コルクは細かい粒に加工された天然コルクを接着剤で固めて、その円柱のワインが触れる下部に円形の天然コルクを張り付けて作られます。安価なのが最大の売りですが、最近は高級ワインにも使用されています。同社が1990年代半ばにリリースしたツイントップは、液面だけでなくトップにも天然コルクが貼り付けられていて、打栓時の向きを揃える必要がないという利便性、そしてその見た目から、今や世界で最も売上げている圧搾コルクです。
サバテ社の微細圧搾コルク「ディアム」
従来のコルク粒よりさらに細かい粒を使った、微細圧搾コルクも徐々に人気を集めています。ツイントップのように天然コルクが張られていない上に外観の滑らかな美しさで売上を伸ばしています。フランスのサバテ社が1995年に開発した微細圧搾コルク「アルテック」の改良を重ねて2005年に誕生したのが「ディアム」です。二酸化炭素31.1℃、73バールの圧力をかける特殊な処理(超臨界二酸化炭素)を施すので、ブショネ(TCA)は発生しません。よって通常の圧搾コルクよりやや価格が高くなっています。6円~36円/個と割高ではありますが、ブショネのリスクがないのは画期的です。業界トップのアモリム社も微細圧搾コルク、「ニュートロコルク」を発売し、その売上げは好調のようです。次回、ワインのコルクを手にした際は、ぜひ天然か圧搾かだけでなくメーカー名もチェックしてみて下さいね。
参考文献:「新しいワインの科学」ジェイミーグッド