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ワインの2つの酸化

      2016/12/13

 

酸化(oxidation)とは還元(reduction)の反対で、物質が電子を失う化学反応を指します。物質に酸素が化合する反応と、水素が奪われる反応があります。例えば前者は、金属が錆びるケースです。鉄が酸素と結び付く事によって(鉄の電子が酸素に移動)、酸化鉄となる酸化反応です。後者は、酸化反応で物質が燃えるケースです。炭化水素が酸素と反応し、二酸化炭素と水へと変化し、物質の燃焼を起こします。

 

ワインには2つの酸化があります。1つ目は、酸化酵素オキシターゼが引き起こすマスト(ぶどう果汁)の中で起きる酸化です。傷が入ったり細菌によって腐敗した果実は、酸化の原因となるオキシターゼと言う酵素を多く含みます。収穫の際は、できるだけ健全なぶどうを選果する事が重要となってきます。極甘口の貴腐ワインの場合、ボトリティスシネリア菌と呼ばれる菌が、黒ぶどうに付着した場合は単なる灰色カビ病ですが、白ぶどうに付着すると貴腐菌という優れた作用を及ぼし素晴らしい甘口ワインを生み出します。しかし、菌なので酸化の恐れが高くなります。よって、甘口ワインには酸化を防ぐ為に、マストに亜硫酸を多用するのです。

 

2つ目の酸化は、化学反応のよるものです。酸素は還元された遷移金属イオン(銀イオン、銅イオン)があると化学反応しやすくなります。酸素とポリフェノールの一種であるフェノール類が化学反応するとキノンと呼ばれる2重結合された化合物や過酸化水素が生成されます。過酸化水素は酸化を招きます。ここでもキノンや過酸化水素と結び付き、その働きを抑制するのが亜硫酸であったりします。

 

ワインの酸化は、酵素と化学反応によるもので、2つある事をお話しました。科学的な内容ですが、いずれも亜硫酸が酸化を防止する効果がある事もお分かりになられましたね。余談ですが、赤ワインよりもポリフェノールを含まない白ワインの方が酸化しやすく、より多くの亜硫酸を必要とします。カーヴではそうですが、畑ではPHが低い白ぶどう(白ワイン)の方が、酸によって酸化から守られ、PHの高い、つまり酸度の高い黒ぶどう(赤ワイン)の方が酸化を招きます。

 

 

 

 

 

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