クローン選抜
2016/12/02
クローンは同じ遺伝子を持ったぶどうの一群を指します。同じ品種でもクローンが異なれば、病気への耐性、収量、風味などが違います。1960年代頃から主要なワイン産地では優れたクローンを選抜してきました。優秀なクローンの要素は下記の点です。
・品質
・収量
・病害耐性
・成熟スピード
研究機関が健全な苗木であると公認したものだけが苗木屋で販売されています。中でもピノ ノワールは遺伝子的に不安定で突然変異を起こしやすく、公認のクローンはおよそ50種、未公認のものも合わせると数百種類のクローンが流通していると言われています。未公認のクローンを使うことは違法ではありませんが、国境越えをする際、植物検疫を通さないと問題になります。申告をせずにスーツケースで密輸する人もいます。そうして持ち込まれた苗木から育ったクローンはスーツケースクローンと呼ばれています。
クローンには113、115などの数字やアルファベット、親株がある畑の名前で呼ばれたりします。現在では多様なクローンから生産者はそれぞれの目的に沿ったものを選択しています。クローンで優れたぶどう木が普及して品質も収量も安定しましたが、下記のようなデメリットもあります。
・ぶどう木の遺伝子的多様が失われ、新型の病虫害に対抗できない
・単一のクローンを用いると風味が単調になる
その為、一部の生産者は、畑に植わってる優良なぶどう木を、複数増やして植え、単一にならないよう努めます。この方法をマッサル選抜と言います。