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アルコール除去

   

今日はアルコール除去についてです。カルフォルニアなどの温暖な地域では、暫しアルコール度数が高いワインに仕上がる事があります。それは、アルコール発生には欠かせない、酵母のエサとなる果汁の糖度が上昇する為に引き起こされます。従来の解決策では、法に触れますが、マスト(発酵する前の果汁)を水で薄めるというやり方が一般的です。ただ、他の全ての成分も薄まってしまうという難点があります。最近は醸造のテクノロジーを使えば、アルコール除去は糸も簡単にできてしまいます。クラーク スミスによれば、カルフォルニアの高級ワインの45%が下記のどちらかの方法で、アルコール除去を施していると言うから驚きです。では、その方法をご紹介しましょう。

 

reverse-osmosis

 

・逆浸透法(reverse osmosis)

フィルターで濾過をする事です。海水から淡水を作るメソッドと同様です。筒状の管の中は、キメの細かいクロスフロー濾過フィルターとなっていて、アルコールと水だけを通します。圧力をかけながらワインを流し、出てきた濾過液(アルコール、酢酸、水)を蒸留するか別の膜に通すと、アルコールが除去されます。あとは、元のワインにブレンドすれば低アルコールワインが完成します。この時、ワインではなく水を添加する生産者もいますが、これはもちろん違法です。逆浸透法の装置の価格は、340万円程度と手ごろで大きさもコンパクトな為、ワイナリーが所有している事もよくあります。

 

 

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・スピニングコーン カラム(spinning cone column)

1980年代半ばから試みられてきた、液体から揮発する成分を蒸気(窒素ガス)に吸着させて回収する方法です。巨大な円柱の中にコーン(三角錐)を逆さまにしたものが、縦に40個入っています。それらは回転するものと停止しているものが交互に配置されています。上部からワインを注ぎ込むと真空になった円柱内では、回転するコーンの遠心力で薄膜を張りながら、ワインは滴り落ちます。下部より蒸気を注入すると、揮発性の高い香気成分が蒸気に吸着して上に運ばれます。後で使用するので回収して保管しておきます。円柱を通り抜けた液体をもう一度、温度を上げて装置に通すとアルコールが蒸発されて回収されます。最後に香気成分と好みの量のアルコールを添加すれば、好きなアルコール度数のワインが出来上がります。装置の価格は1億1000万円と値が張るので、ワイナリーではなく工場に委託というケースが取られる事が多いようです。

 

カルフォルニアでは両方のアルコール除去が認められていますが、EUではスピニングコーン カラムに関しては、発酵前のぶどうに対して全量の20%以下の減少量まで、アルコールは2%までの除去が認められている地域もありますが、それはほんの僅かで、フランスの様に認められていない地域がが殆どです。ナチュラルとは程遠い、極めて人為的な介入なので、自然派の造り手の間では、アルコール度数を抑える方法として下記の様な処置が取られています。

 

・蓋のない発酵槽の使用・・・・発酵温度を上げる事

・土着の天然酵母の使用・・・・ゆっくりと均一に発酵を進める

 

今日は少し難しいお話でしたが、アルコール除去についてお伝えしました。

 

参考文献:「新しいワインの科学」ジェイミー グッド

 

 

 

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