スロヴェニア旅行記ⅩⅢ
2016/12/14
スロヴェニアのワインメーカーをビジットしたお話は前回からの続きです。2軒目はヴィパヴァ村のMANSUS マンスースを訪れました。ドメーヌ犬が出迎えてくれました。
自家製ピーチジュースを頂きながら当主を待ちます。
お庭に落ちているフレッシュなクルミも頂きました。スロヴェニア人によくされる質問で、「日本は色々なものが高いんでしょう」と同じぐらい頻度があるのが、「日本はケミカルなものばっかりでしょう。ナチュラルなものはきっと無いでしょ」です。そんなイメージなんですね。
20分ほど経って、MANSUSマンスースのBogdan Makoveeがやってきました。1513年から続くワインメーカーです。味とテロワールを重んじて伝統を守ります。10haの畑で11種類のぶどうを育てています。
テイスティングルームで試飲の始まりです。
先ずはピノグリ(赤紫のぶどう(灰色)2015からスタートです。ロゼワインに見えますが醸し時間を長く施したた白ワインです。フレッシュですが、アフターに色素が強いので心地好い苦みを感じます。
バルベーラのロゼに続き、トカイ、シャルドネ、マルバジア、クラルニッツア、レブラなどが続々と出てきます。2015年にリリースされたばかりのクラルニッツア2009は白ワインですが、アルコール度数が16%もある上に、茶色いワインです。旨味が強く感じられました。マッサベッキアやラディコン系ですね。色の由来は醸しです。醸しの期間が1年と長く、更に4年間樽熟成、1年間ボトル熟成されています。樽はチェリーとアカシアを使用しています。スロヴェニアンオークはフレンチオークより高価なので、なかなか手が出ないと仰っていました。
3月に収穫したグラルニッツアで造ったデザートワインです。干しぶどうの様になるまで待って収穫をします。4000本で200Lつまり、ぶどう
生ハム、チーズ以外にもスロヴェニアの焼菓子である、ポティッツアを頂きました。渦巻の中にはクルミやシナモンが入っています。カッテージチーズ、肉の揚げかす、ポピーシード、蜂蜜、チャイブなど80種類以上の具があります。
ビンテージで飲み比べもさせてくれました。後半は、当主とワインショップのオーナーと3人で、飲みながらの雑談になりました。当主が何気なく言った事にたいそう感銘を受けました。
「死んだら畑に散骨してもらうんだ。ここで生まれ育って、ビニョロンとしてワインを造って、最後は畑に戻り、ぶどう木と生きるよ。2040年ぐらいのヴィンテージを飲んだら、君はワインから僕を感じるかもしれない」
じーーーーん。涙
「それは、素敵ですね。ミネラルが更に増していたりして!」
と返しました。
16種類を頂き、お土産にも数本持たせてくれました。価格の交渉も済ませて次のワインメーカー、KABAJ カバイの元へ車を走らせます。日はどっぷりと暮れました。イタリアへ一度入国して、近道をしました。Jean Michel Morelが迎えてくれました。
写真を撮ることを失念してしまいあまり写真がないのですが、当主は「本物のワイン」という言葉をよく使っていました。ワインの様なものが巷にあふれているが、そんなものと自分の造ったワインを一緒にされたくないと言います。工業的なワインとはもはや別物です。
「リアル(本物)のワインは、プロダクト=商品ではなく、アーティクル=作品だよ」同感です。それから10種類程度試飲をさせて頂き、夜も更けたので帰路につきました。リュブリャナに戻ると、時計の針は深夜をとうに回っていました。
長い1日にようやく幕を下ろしました。