ブラックワイン
2017/06/22
ここ最近、オレンジワイン、グリーンワイン、ブルーワイン、イエローワインと言う流れで行きました。一旦この辺りで色物は終わりにしようと思うのですが、この有終の美を飾るのが、今回のタイトルでもあるブラックワインです。えっ、黒ワイン?きっと色濃い赤ワインの事でしょう。はい、ご名答でございます。しかし、どこの産地のワインかはご存知でしょうか。それでは黒ワインのこーい(濃い、恋、好意、来い)世界に皆様をご案内しましょう。黒ワインへの誘いでございます。
フランスのガスコーニュ地方、ソムリエ試験の勉強をした方は、南西地方で馴染みがあるかもしれません。ワインの銘醸地であるボルドー東部からスペインのピネレー山脈に渡る地区を総称して南西地方と呼びます。中世から近世にかけては、隣り合わせのボルドーとはライバル関係にありました。その時代、南西地方のカオールやガイヤックのワインはボルドーワインを凌ぐとも言われており、実際にボルドーワインの品質を向上(骨格形成)させる為に、南西地方の優良なワインがボルドーワインにブレンドされていました。
南西地方は内陸の産地なので、川を下り大西洋からワインを各国に輸出していました。地理上、どうしてもボルドーを通過しないとワインは出荷できません。ボルドーのワイン商は自分達のワインを守る為に、南西地方のワインに高い税金を課せたり、出荷を遅らせたりして圧力をかけてきました。そんな歴史的な背景があることから、現在でもボルドーと南西地方は犬猿の仲と言われています。
南西地方は、カオールやマディランなどの濃厚なフルボディの赤ワイン、ジュランソンの甘口白ワインなど、多様かつ個性的なワインを生み出します。クオリティにも優れ、中世の時代から国際的に有名で、とりわけイギリスでは人気を集めていました。前出しましたが、カオールの赤ワインが今回、主役の黒ワインでございます。19世紀にはその色の濃さから黒ワインと呼ばれてきました。最盛期は4万haに及ぶ、ぶどう畑がありましたが、現在は6000haにまで縮小しています。
マルベック(黒ぶどう)
カオールの赤ワインはマルベックと言う黒ぶどう品種が主体(70%以上の使用がワイン法で義務付けられています)で造られています。マルベックは又の名をコット、地方名ではオーセロワと呼ばれています。ボルドーワインと似ている重厚なスタイルのワインを造ります。この品種が黒ワインの鍵を握っています。
マルベックはアルゼンチンでもメジャーな品種です。カベルネソーヴィニョンなどのボルドー品種よりも日照量を必要としている為、比較的温暖な気候を好みます。黒みがかった果粒は、小粒で果皮が厚く、果皮に対する果肉の割合が低いのでワインは色濃く仕上がります。酸は強くありませんが、タンニンは豊富です。若いうちは、フローラル(スミレ)でブラックベリー、ブルーベリー、プラムなどの香りがします。豊かな鉄分も感じられ、とにかくパワフルで固いです。言うなれば骨太。熟成するとドライフルーツ、たばこ、獣香がしてきて丸みを帯びてきます。
そんな感じが黒ワインですが、19世紀のカオールは現在と異なり、ぶどうをオーブンで焼いたり、マスト(果汁)を煮詰める事により、水分を飛ばして糖分を凝縮させていたりしました。色濃く味濃く仕上げる為です。そんな人為的な事に加えて酒精強化もされていました。その為、ポートワインのような濃厚な味わいだったようです。そんな黒ワインはそのまま飲まれる事は少なく、薄っぺらいワインにブレンドされる事が多かったそうです。
黒ワインはしっかりしているのでお料理もしっかりしたものをお勧めします。南西地方の郷土料理なら、クセのあるジビエがぴったりです。鴨のコンフィ(コンフィ ド カナール)、温製フォワグラ(フォアグラ ポワレ)などがよく合います。その他に、ジビエを赤ワイン、野菜、ベーコンで煮込んでソースに血を加えたシチューである、仔猪の煮込み(シヴェ ド マルカサン)、鶏ガラや肝臓をワインで煮詰めたソースで軽く煮込んだ、森鳩のサルミソース(サルミ ド パロンブ)などです。クセのあるワインにはクセのある料理がベストマッチです。
鴨のコンフィ
温製フォワグラ
仔猪の煮込み
森鳩のサルミソース
また、あまり知られてはいませんが、黒ワインはカオールだけではなく、東欧ルーマニアで生産される赤ワインの事も指します。土着の品種(フェテアスカネアグラ、ネグル デ ドラガシャニ、ネグル デ ロマネシュチ、バベアスカ ネアグラ、ノヴァック)を使用して、暗い赤褐色(赤黒い)のワインになります。アルコールやタンニンが豊富な骨格の太いワインです。
さてここからは、私がお勧めしたいスロヴェニアのオレンジワインのご紹介です。ウェブショップの一般小売以外に飲食店や酒販店などの業務店向けにも対応しています。お気軽にお問い合わせ下さい。info@365wine.co.jp 担当:大野
クラルニツァは全世界で作付け面積が3haしかない極めて希少な品種です。濃いゴールドカラーからはアカシア、アプリコット、黄桃、黄りんご、オレンジピールなどのフルーツバスケット。ドライな中にもはちみつと檜と干草の香りが複雑に漂います。暖かさと熟したタンニン、揮発酸が程よく全体を引き締めます。アフターにはリッチな厚みが長く続きます。まさに旨味の宝庫。もつ煮込、土手煮、サバの味噌煮とどうぞ。
《クラルニツァ2013》
品種:クラルニツァ
産地:スロヴェニア
タイプ:辛口白ワイン(オレンジワイン)
価格:5,500円
麦色のワインからは、白桃、黄桃、プラム、カリン、洋梨、はちみつ香の華やかな香りが感じられます。果実の甘味が溶け合い、ボディは厚みがありフルーティです。豊かなミネラル感、若くグラッシーな風味、アフターの微かな苦味が心地好い余韻として残ります。春巻き、酢豚、回鍋肉などの中華料理。ナンプラーやパクチーを使ったベトナム料理やタイ料理がおすすめです。山椒もよく合います。
《マルバジア2015》
品種:マルバジア
産地:スロヴェニア
タイプ:辛口白ワイン
価格:2,800円
濃いサーモンピンクカラー、繊細な小花、カリンの香りが漂います。滑らかな酸、フルーティーで厚みがあります。心地好い苦みと旨味をアフターに残します。白身魚のムニエル、味噌漬け、西京焼きなどと如何でしょうか。
《シビピノ2012》
品種:ピノグリ
産地:スロヴェニア
タイプ:辛口白(オレンジワイン)
価格:3,600円
ゴールドカラーからは華やかな木なりの果実とはちみつが香ります。柔らかな酸と程よい酢酸エチル、溶け合った甘味がバランス良くまとまっています。4種類の果実がもたらす複雑味のあるワインです。シーフード、チキンのオリーブオイルソテー、オリーブ、ドライオレガノ、ジビエのグリル、ブルーチーズ&ハニーなどとどうぞ。
《ルイーザ2011》
品種:レブラ、シャルドネ、ソーヴィニョネーズ、ソーヴィニョンブラン
産地:スロヴェニア
タイプ:辛口白(オレンジワイン)
価格:4,500円
ハーブや柑橘類の香り、白ワインでは珍しいホワイトペッパーのスパイシー香に驚かされます。ひらくと華やかなアカシアの香りが広がります。豊富なミネラルと透明感のある酸が、すっきりとまとまりを見せた上質な白ワインです。ホワイトペッパーをきかせた肉魚料理(スパイシーな唐揚げ、ポークやシーフードのソテー)、豚肉の生姜焼き、柚子胡椒、刺身、寿司などとよく合います。
《ゼレン2015》
品種:ゼレン
産地:スロヴェニア
タイプ:辛口白ワイン
価格:2,980円
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スロヴェニア赤3本セット(カベルネソーヴィニョン、メルロー、バルベーラ)
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