空気接触(aération)の効果
2016/12/05
空気接触とは、フランス語ではアエラシオン、英語ではエアレーションですね。ワイン業界ではぶどう栽培や醸造用語は名産地であるフランス語で表記されることが多かったのですが、昨今、世界の共通語である英語で表されることが増えてきました。
いわゆる、グラスをぐるぐる回す、アレです。業界用語ではスワリングと言います。また、ボトルからディキャンターに移す、ディキャンタージュ(仏)、ディキャンティング(英)は、滓を取り除く以外ではワインと空気の接触を目的にしています。より若くてタンニンも酸も豊富な赤ワインの方が空気接触の効果が得られやすくなっています。空気接触ので得られる効果は7つあります。
【空気接触の効果】
①ぶどう由来の果実香(第一アロマ)が上がる
②醸造由来の香り(第二アロマ)が下がる
③ワインの複雑性が高まる
④樽香が強まる
⑤タンニン量の変化はないが、渋味がまろやかになる
⑥味わいが広がり、ふくよかさが強調され、全体のバランスが取れる
⑦還元の影響が弱まる
⑦還元の影響が弱まる をもう少し見ていきましょう。還元とは硫黄化合物が原因で引き起こされる状態です。極度な還元には不快な要素があり、オフフレーバーと認識されます。、硫化ジメチル、メルカプタン、メチオノール等の臭い物質からはカリフラワー、海苔、金属、下水溝、腐った玉ねぎ等が、二酸化硫黄、硫化水素になると硫黄温泉やゆで卵の黄身等の強い刺激臭を感じます。
程度にもよりますが、軽い還元は空気接触で酸化に傾けることが可能です。これは抜栓後、ボトルの外で行われることで、棒で滓と攪拌させるバトナージュや、移し替えて滓引きをするスーティラージュはボトリング前の空気接触となります。ボトリング後のワインはどうしても還元に傾く為、ある程度、人為的に酸化をさせる必要があります。生産者は還元と酸化の中間を狙い試行錯誤し続けているのです。