ワインの飲み頃を教えて下さい
2016/11/23
セラーで眠っている大切なワイン。どんなに素晴らしいワインでも飲み頃を誤るとそのワインの魅力は発揮されません。オープンするタイミングは非常に重要ですね。ひと口に飲み頃と言っても産地、生産者、品種と多様性に溢れているので、ずばりこのタイプはこの時期に!とは言い難いところがあります。ここではワインを楽しむ際に大切なポイントである、開ける適切な時期と状態についてご紹介しましょう。
先ずは、適切な時期についてです。ワインは生き物であり、ボトル内でも刻々と変化を見せます。ボトリング直後のベイビーワインから飲み頃を向え、ピークの後は緩やかに熟成されていきます。生誕から老い、なんだか人間の一生と似ています。
ワインのタイプ、ヴィンテージ、保管状態により飲み頃も様々です。例えば、フレッシュさが売りの軽めの赤、白、ロゼワインの飲み頃は一般的に早めです。一方、重めのボディでタンニンも酸もパワフルなタイプは長期熟成が可能です。ワインの酸味、甘味、渋味が長期熟成型ワインには不可欠な要素です。上質な甘口ワイン(貴腐ワイン、ポートワイン)は、保管状態がよければ100年或いは、200年保つと言われているご長寿ワインです。また、ヴィンテージにより天候に恵まれた当たり年は熟成型のワイン、バットヴィンテージは早くから楽しめるワインとなっています。いずれもワインの飲み頃の時期に合わせて頂く事がおすすめです。
先日、スペインの生産者に仕入れたワインが2年の歳月を経て、素晴らしい状態へと変化していたので、それがいつまで続くかを聞いてみました。すると彼は、”Who knows." 知るもんかと。同じような年であった、ひとつ前のヴィンテージを年末に開けた時、とても良かったと絶賛していました。年々ポジティブな方向へと変化しているのだとか。それは筆者も同様に感じているところです。既存のヴィンテージの飲み頃は、まだまだ続くと思われます。
次に適切な状態についてです。例を挙げてみましょう。ワインショップで横に寝かされていた1982年の赤ワインを購入し、垂直の状態で持ち帰りました。当然ボトル内は滓(おり)がまい、ワインも輸送で疲れきっている状態です。それをその日の夜に抜栓する人などいませんよね。先ほども言及したようにワインは生き物です。輸送での疲労、取り巻く環境が変わった事へのストレスを受けています。人と同様にワインも暫く休ませる必要があります。本来のワインが持っているポテンシャルを発揮できるような状態で頂く事が大切です。
時期と状態を考慮し適切なタイミングでオープンして下さいね。